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文春オンラインの寄稿「情報弱者の貧困層をバカにする人、搾取する人」を読んで思ったこと。

今、一つの記事が注目されている。

2019年2月5日に、文春オンラインにて掲載された

「情報弱者の貧困層をバカにする人、搾取する人 – オンラインサロン界隈を眺めていて思うこと」(著者:吉川ばんび氏)

は、現時点、facebookでは1250、Twitterでも8720リツイートされ、大きな反響を呼んでいる。

巷に溢れる怪しげなネットビジネスという側面から現代の貧困問題にクローズアップした辛口のコラムだ。

それは、今、流行りのオンラインサロンを単に批判しているわけではない。ネット社会に根深く潜り込んだ ” 搾取 ” の実態と被害者心理を読み解いている。

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期待と供給の不一致

吉川氏はこの記事の中で、仮想通貨バブルとその崩壊、そして、ブログビジネス、オンラインサロンへの勧誘について語っている。

実名を出していないものの、これらは煽り系ブロガーとして有名なイケダハヤト氏、そして、彼の主催する「脱社畜サロン」に対する批判だということは、事情通ならばすぐに分かるだろう。

「脱社畜サロン」の会員ではないので詳細は分からないが、提供されているコンテンツが価格に見合わないという批判なら、退会すればよいだけの話のようにも思える。言うなれば、単に入るべき店を間違えた、という見方だ。

ただ、吉川氏の批判は、提供されているコンテンツと価格のバランスではなく、サロン内で行われている ” 煽り ” について向けられている。そして、その ” 煽り ” が貧困に追い詰められ、判断力を失った人たちにとっては魅力的に見えるのだと。

つまり、彼女はネットビジネスで見落とされがちな ” モラル ” について問題提起している。

ビジネス vs モラル

多分、オンラインサロン運営側、もしくは、インフルエンサーとして発信する側は、吉川氏が目の当たりにしてきた貧困に苦しむ人たちの ” リアル ” を想定していない。

経験から儲け話と実績をちらつかせれば集客できることを知っているだけで、そういった世界とは無縁の生活を送っている連中だ。

彼らにとってそれは ” ビジネス ” あり、会社に縛られて働きたくない若者、一発当てて成功したい人、正常な判断力があり、多少の煽りであることを知りながら、それでも金欲しさに集まってきた人たちが、自分たちの情報商材を買うのだろうという想定の中で動いている。

そこに、貧困に苦しむ人を惹きつけてしまっているという構造が生まれている。多分、彼らにとっては「そんなの知らねーよ」ということなのだろう。

いや・・知っていながら黙認しているということかもしれないが・・

彼らのターゲット層は、あくまで貧困に苦しむ人ではなく「脱社畜」という夢を見る若者である。表面的には。

そして、対象者を限定することは無い。入ってきた人が借金まみれだろうと、病気であろうと、コンテンツを売りつけることが出来るなら、感情も無くそれを売るだろう。

利益追求社会がもたらすもの

さて、オンラインサロン運営者がどうであろうと、そこに ” 貧困層からの搾取 ” という実態があることは事実だ。上手い儲け話に集まってきた人が金だけを取られて終わる。

僕もAmazonで購入した商品が期待外れだったという体験は幾度かある。高評価レビューに乗せられて買ってしまったのだ。Amazon運営はステマ的なレビューが誤った購入を促していることを知っているはずだ。しかし、レビューをそのまま放置している。

これを ” 搾取 ” と捉えるか、それともシステムの不備だと片づけるか。なぜ、Amazonはシステムの改修にリソースを注がない?

結局これらは、人道よりも利益だけを追求し、弱者から奪うことが正当化される ” 資本主義社会 ” による僕たちへの搾取なのだ。

人々はきっと僕にこう言い放つのだろう。「騙される奴が悪い」「世の中そういうのも」さも、自分は簡単には騙されない頭のいい人間であると言いたげに。

社会をおかしくている問題には目を向けず ” 自己責任 ” という小さな箱に押し込んで、自身から切り離し ” 他人事 ” として片づける。それこそが分断と格差、そして貧困を生みだす元凶だとも知らずに。

吉川氏は、一般人が関心を持つであろうネット社会でよく見かける不幸なエピソードに焦点を当てながらも、実際は、その背景にあるもっと大きな ” 貧困 ” という問題に僕たちを導いているのだ。

 

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