4月3日火曜日午後1時頃、米カルフォルニア州サンフランシスコ近郊にあるユーチューブ本社にて発砲事件が起きた。
警察は容疑者の身元は明らかにしていないが、米メディアは、39歳女性でナシーム・ナジャフィ・アグダムという名を報じている。
一部では、YouTube本社内に面識のある人物がいたとも報道されているが、ABCなどはナジム容疑者の投稿動画が閲覧不能となり、広告収入が得られなくなったことに反発し、犯行に及んだのではないかと報じている。
スポンサードリンク
YouTubeが信用経済重視になったきっかけ
ユーチューバーという新しい職業が生まれたことは、一体、良かったのだろうか? 悪かったのだろうか?
とにかく生活の全てをYouTubeに頼り切った仕事には違いない。もはや、趣味レベルで片手間に動画投稿している程度では、視聴者からもYouTubeのアルゴリズムからも評価されないのだ。
必然的にYouTubeに全リソースを注ぐことをクリエイターは求められる。「多くを捧げ」と求めながらも突然のアカウントの凍結。送りつけられたメールには自動送信された定型文の凍結理由が記載されているだけだ。
底辺で活動し続けるユーチューバーに一言、忠告しておきたい。「YouTubeはあなたの人生を変えてくれる天使ではない。単なる営利企業だ。命を預けるな」と。
1500万人のチャンネル登録者を有するアメリカのユーチューバー、ローガン・ポール氏が、2017年年末、倫理上問題のある動画を投稿して大きな波紋を起こした。来日していたポール氏が山梨県青木ヶ原樹海にて偶然、遺体を発見し、その様子を動画として投稿したのだ。
動画自体はすぐに削除されたが、多くの視聴者がそれを目撃してしまい国内外から非難が殺到。ポール氏はその反響の大きさから「ショックと畏敬の気持ちで判断を誤った」と反省の弁を述べ謝罪した。
この事件以後、YouTubeは動画に対する規制を強化していった。そして、ここに来て、YouTube本社での発砲事件。
新たなルール
YouTubeの新たなルールには、広告収益を得るにはチャンネル登録者1000人以上という条件が付く。仮に登録者が1000人未満だった場合、そもそも視聴回数が少ないため広告収益権を剥奪されたところで、ほとんど何の影響も無いという。
これまで登録者数の条件は無かった。一本の動画がバズさえ起こせば、大きな収益を無名のクリエイターにもたらした。ただ、この仕組みには危うさがある。
要するに過激な内容の動画を投稿することで注目を集め、再生回数を稼ぐというインセンティブをクリエイターに与えてしまうわけだ。知名度の無いクリエイターならば、収益目的でそういった方向へ傾きやすい。
多分、ローガン・ポール氏の事件に限らず、以前から過激系動画が注目されやすいプラットフォームの体質を問題視していたのだろう。
ある意味、YouTube運営は登録者数をそのチャンネルの ” 信用度 ” として評価し、一定の登録者数を有するチャンネルは ” 安心して見られるコンテンツ ” として収益化を認めた・・・ということかもしれない。
しかし、著名人であるポール氏ですら間違った判断を下すことがある。登録者数という条件は、あくまでコンテンツの信用度を推し量る基準の一つに過ぎないということだろう。
ただ、少額の収益を得ていたクリエイターにとっては、” やる気 ” を削ぐ手厳しいルール変更だ。
信用重視の功罪
新しく開設された歴史の浅いチャンネルは、過激系コンテンツを投稿する危険性は無いと判断できるまで評価出来ないというのが、YouTube運営のスタンスだ。
だから相当長い期間、安心、安全な動画を投稿し続けるというのは、評価を得るためにはやはり必要だろう。
ただ、過激動画対策によって、チャンネル信用度を重視しはじめたYouTubeが、結果的にクリエイター間で勝ち組、負け組という ” 格差 ” を生み出すとは、何とも皮肉な流れだ。
Comments are closed, but trackbacks and pingbacks are open.