カジサック(キングコング梶原氏)にとって、2019年は、どうやら受難の年のようだ。
2月3日、評論家の宇野常寛氏が、とあるイベントで梶原氏から失礼な絡みを受けたとして、Twitterに怒りを露わにしたツイートを投稿し、それがきっかけで炎上騒動となっており、今現在も梶原氏を擁護するファンなどから宇野氏への非難が続いていると言う。
インターネットという武器を手にしたとき、西野亮廣は誰も見たことがない魔法を使ってみせたが相方の梶原はネットなら自分はいじる側に回れると、テレビのイジメバラエティを縮小再生産することしかできなかった。
この差はとてつもなく、大きい。
才能というものの残酷さについて考えさせられる。
— 宇野常寛 (@wakusei2nd) 2019年2月3日
1月に放送されたテレビ番組でも、お笑い芸人のサンシャイン池崎氏が両親にプレゼントした新築物件に対して不適切な発言をしたとして批判が殺到していた。
そして、2月4日、YouTubeではドッキリ企画として投稿された動画が、現時点でグッドボタン6730に対して1.2万のバッドボタンがつくという大きな反響となっている。
その後、梶原氏は、同チャンネルにて緊急生配信という形でドッキリを仕掛けられたヤスタケ氏に謝罪している。
今、カジサックチャンネルに何が起こっているのか?
現在、登録者74万人を有するカジサックチャンネルは、テレビの世界にいた芸能人がYouTubeに転身をしたケースでは成功事例と言えるだろう。
ユーチューバーへと転身を果たした梶原氏がここに来て躓き始めてしまったわけだが、これは単に悪い偶然が重なったからだと、片づけてしまってよいのだろうか?
宇野氏との炎上騒動は、YouTubeではなくイベント会場での出来事が発端ではあるが、実際に炎上に加担している人たちは、カジサックとして成功している梶原氏を揶揄していると見ることも出来る。
これはある意味、カジサックチャンネルという媒体が、成長していく上で必ず通過する一つのフェーズではないだろうか。
HIKAKIN氏のように何年もかけてチャンネルを作り上げていったタイプのクリエーターは、トライ&エラーを繰り返しながらチャンネルを成長させてきた。
何をすれば良い反響を得られるかを、まだ登録者が少ない状態から観察、研究しながら動画を作りこんでいく。
しかし、カジサックチャンネルは、2018年10月からスタートし、たった半年足らずで瞬く間に登録者数を74万人にまで伸ばした。
つまり、成長スピードが速すぎるのである。
トライ&エラーや、黒歴史を作る余裕もなく梶原氏は、多くのファンの期待に応えるために、この追い風を利用してトップユーチューバーになるために動画を生産し続けなければならなかった。
まだ、運転免許を取り立ての人に、突然、レーシングカーを与えてサーキットに送り込むようなものだ。
今回のドッキリ企画による炎上は、ビギナーズラックならぬ、ビギナーズミステイクだ。それを74万人の注目が集まる中でやってしまったということだろう。
クリック一つで変わる世界
テレビの世界では、タレントにはタレントとしての役割があり、番組側が企画を考え、精査する。
YouTubeでは、クリエーターが自ら企画を考え、自らそれを実行するわけだが、公共のプラットフォームに公開するかどうかはクリエーターの判断に任されている。
仮に、公開するべきではない動画を出して、YouTube側からアカウント停止処分になるとしても、それが一時的であったとしても多くの人の目に触れる状態になる。
記憶に新しいのは、2017年にアメリカのトップユーチューバーであるローガン・ポール氏が投稿した動画が、倫理的に問題があるとして大きな騒動になるという事件があった。
クリエーターが「これは凄い再生回数になるぞ!」という一種のクライマーズハイのような心理状態に陥って、倫理的に公開すべきでない動画を世に出してしまうことは、事実起こりうるわけで完全にシャットアウトは出来ない。
投稿ボタンのクリック一つで、大きな波紋を作ることが出来るというYouTubeの仕組みについての梶原氏の認識が甘かったということだろうか。
もしくは、彼は、大きな影響力を持ち始めた「カジサック」というキャラクターをコントロールすることが出来なくなってきている、ということなのかもしれない。
炎上というメリット
ただ、インターネットには、炎上によって知名度が上がるという性質もある。そして、YouTubeには「コンテンツよりも知名度が全て」という向きもある。
実際、Twitterの炎上騒動によって、僕は評論家の宇野常寛氏の存在を知った。
また、このドッキリ企画炎上騒動によってヤスタケ氏の知名度は、間違いなく上がっただろう。
謝罪動画の中でも、梶原氏は、ヤスタケ氏の知名度を上げるための方策を日頃から考え、今回のドッキリ企画を思いついたということだが、もし、各方面に気を使った当たり障りの無い企画ならば、ここまでの反響は得られなかったはずだ。
今回の炎上騒動によって、皮肉にもヤスタケ氏への同情票が集まり、知名度に貢献していることは確かだ。
インターネットとは、奇妙な世界だ。
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