今から、インターネットという世界で何かにチャレンジしようとするなら、多分、誰もが思い浮かべるだろう。「YouTube」というプラットフォームを。
先駆者たちの不断の努力のおかげで「ユーチューバー」という名前は浸透し、社会的な認知度を高めつつある。市民権を得るのは時間の問題だろう。
聞くところによると、3万人ほどの登録者さえ獲得出来れば、脱サラが出来るほどの収入を期待できるとされている。現時点の話では。それでは、なぜ、僕がYouTubeというプラットフォームではなく「ブログ」というメディアを選択したか?
まずは「顔出しをしたくないから」というのが理由の一つだ。とは言え、YouTubeでも顔出しせずに動画を投稿することは可能だ。ただ・・・
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「顔出しNG」という文化
技術的には、顔出しをせずに動画を取ることは出来る。例えば、今年に入ってアカウント停止になった200万人以上の登録者を抱えていたラファエル氏は仮面をつけて出演している。
他にも、カメラの位置を下げて顔が映らないように撮影している場合や、大きなマスクをつけているクリエーターも多数存在する。また、ゲーム実況チャンネルなどでは、ゲーム画面のみで実況者が全く顔を出さないというパターンもある。
近年では、「バーチャルユーチューバー」と呼ばれるアニメキャラをCGで再現し、声優が吹き替えを行うというキャラクター系のチャンネルも存在している。
現時点、登録者242万人を有するA.I.Cannel が代表例だ。チャンネルに出演している「キズナ・アイ」というキャラクターがアニメ好きなファンを魅了している。
YouTubeでも顔を知られることなく収益を稼ぎ出す方法はある。” ある ” というだけで十分な収益を得られるかどうかは、また別の話だ。
顔出しのリスク
少し前にテレビ番組でTwitterの投稿から場所を特定し、リアルタイムで送信者を追跡するという企画があった。
Twitterに投稿された写真や、いくつかのツイートの短い文章から特定に結び付く情報を見つけ出し、番組スタッフがすぐさま追跡を開始するといったものだが、恐ろしいことに送信者は、簡単に特定されスタッフに捕獲されてしまうのだ。
また、有名なユーチューバーの中には、行き過ぎたファンによる自宅への不法侵入やストーカー被害などに遭い、警察に通報するまでの経緯を動画報告するケースも出ている。
多分、動画としては公開すべきではないレベルの被害というのも、多数存在するだろう。
つい最近では、アイドルグループNGT48に所属する某アイドルがストリーミングサービスSHOWROOMに投稿した動画がきっかけで、ファンに自宅を特定され押しかけられたという事件があった。
「顔出し」で表舞台に立つということは、やはり、そういった側面でのリスクはあるようだ。
しかし、それは、有名人やトップユーチューバーだけの話・・・とは言えない。
実際、SNSで知り合った男女がトラブルに発展することは、よくニュースで聞かれることだ。それが凶悪犯罪へと発展してしまったというケースもある。報道されている事件が凶悪な事件に限られているというだけで、実際、そういったトラブルの氷山の一角であることは想像に難くない。
こういった事件に対して日本人の関心は高い。そして、それが匿名文化の根底にあるのではないだろうか。
生声NGという問題
顔出しNGを技術的にクリアしたとしても、次なる問題は「声」だ。トークスキルもそこに入る。
バーチャルユーチューバーの中には、ボイスチェンジャーを使用して声を変えた状態で出演するパターンもある。技術的には性別を変えることも出来るようだ。
もしかしたら将来的には、中年男性の声をイケメン風にしたり、中年女性の声をアイドル風にするといった加工が出来るようになるかもしれない。ただ、トークをする力はどうにもならないが。
YouTubeは「素人っぽさが売り」だという見方もある。だから、トークがそれほど上手くなかったとしても、これまでは成立していたが、すでに多数の芸能人が参入している現時点のYouTubeでは、もはや、視聴者層そのものが変わってきている。
クオリティの高い動画は、探せば他にいくらでも見つかるという状態の中では、「素人っぽさ」は、単なる「素人」に過ぎない。
ブログに比べ、YouTubeは、求められるスキルがいくつかあり「個性」が必要になってくる。ブログならライティング能力さえあえればいい。
ブログのコスパ
ブログというメディアは、自己表現をしつつも匿名文化によってリスクを回避できるという点で、臆病な日本人の気質にマッチしている。そして、失敗しても、文章が下手でも、炎上しても、匿名だからダメージは無い。
また、YouTubeを始めるとなれば、多分、ブログなど書いている暇は無いだろう。ブログに限らず、あらゆるリソースを動画作成に投じなければならない。
ブログならば、それほど重コストではない分、リソースを他のことに充てることが出来る。YouTubeだけに絞るということは、そこで芽が出なければ、投入したリソースが全て無駄になってしまう。
今、波が来ているからという理由で安易にYouTubeを始めてしまう人が多いように感じる。
Twitterやブログで成功したインフルエンサーがYouTubeを始めたが、まったく反応が得られず低空飛行という例がある。インスタグラムではフォロワーが1万人以上いるが、Twitterでは振るわないといった例もある。
やはり、個々のプラットフォームには特色があり、文化がある。そして、それに適した人材とそうでない人材というのもある。適材適所というやつだ。
そういった意味で、ブログは僕に適したメディアだと感じている。低コストで、パソコンが一台あればよい。記事を後から修正することも容易だ。動画となると、一度撮影したものを簡単に修正出来ない。撮り直すか、再編集をするにしてもそれなりの時間と労力が必要になる。
とは言え、ブログに参入障壁など、ほぼ無いに等しい。( ジャンルによってはあるかもしれないが ) ブログは枯れたメディアだ。そして、収益化出来る市場は、すでにレッドオーシャン化している。
アドセンスで収益化することは比較的容易だが、やはり、それで生計を立てられるほどになるのは不可能とは言わないが、かなり困難だろう。
実際、ブログだけで生計を立てていると公言しているブログを見る限り、長い活動期間があり、一定の読者を抱えている。新参者が今からレッドオーシャンに飛び込んで、彼らのようになれるというのは夢物語だろう。
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