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Twitter外注化に見る「ゴーストライター問題」

2018年にYutubeに参入した有名ブロガーイケダハヤト氏が、動画内でTwitterの外注化について語っている。

Twitterの「外注」と聞くとイメージでは、例えば、本人の著作の中から引用するとか、誰かとの対談で発言したことを抜き出してツイートするというようなレベルなのかと思ったが、どうやらそうではないようだ。

動画では、あたかも本人っぽいツイートにするために外注業者と打ち合わせをし、フォロワーの増加分ギャラを支払うという契約についても語っている。そして、書籍の業界でも「ゴースト」いわゆる執筆代行は、よく行われている慣行だとも言う。

本人 vs ダミー

以前、作曲家の佐村河内守氏の作曲した作品は、実は、別の作曲家 ( 新垣隆氏 ) が作っていたということが発覚し、「ゴーストライター問題」として多くのワイドショーが取り上げ世間で騒がれた。それが、今、ウェブ上で当然のように行われており、ビジネスになっている。

佐村河内守氏の記者会見とマスコミのバッシングは一体何だったのだろう?と思えるほどだ。

確かにTwitterの場合、閲覧者はタイムラインをチェックしているだけでお金を払って何かを買っているわけではないので、損害という実態はない。

それを言えば佐村河内守氏の件でも、お金を払ってCDを買った人は、事実、それが誰が作曲したものであれ、素晴らしい音楽をCDという形で入手したことには違いない。そう考えれば損害の実態は無い。

問題は、ゴーストライターが作曲したと知っていたら、それを買ったか?という部分だ。

最初に「ゴースト使ってます」と宣言さえしておけば、後々問題にならないということなのだろうか? 例えば、CDの隅っこに「作曲 佐村河内守、他」と印刷してあれば、この問題は起きなかった?

YouTubeにはチャンネル名の右端に、公式であることを証明するチェックマークが表示される。もし、Twitterでも本人のツイートだけにつく公式のチェックマークが採用されたとしたら、それ以外のツイート、つまり外注業者のツイートは、フォロワーの目にはどう映るのだろう?

フォロワーは、そのツイートに「いいね」するだろうか?

間違ってもダミーが本人のアカウントより多く「いいね」されるとは思えないが・・・

なぜ、ダミーが本人には勝てないのか?

それは、人々が本人であるという「希少性」に価値を置いているからだ。いくらでも量産できるダミーにはそれが無い。だから、インフルエンサーが自分の仕事を減らすため、収益を拡大するために「外注化」を行った時点でビジネスモデルとして ” 失敗 ” なのだ。

量産出来ないからこそ、その影響力を担保出来るという事実。ディズニーランドにミッキーが何人もいたら、誰もミッキーに会いに行きたいとは思わないだろう。

幻想から生み出されるマネー

ゴーストライタービジネスというのは、Twitterに流れている大量の情報の中に紛れ込ませて誤魔化せるという有耶無耶な状況、気づく人は気づくが気づかない人は気づかないという曖昧な状況、というある種のグレーゾーン領域を利用してようやく成立しているようにも思える。

誰かが、某インフルエンサーのことを知り、フォロワーになる。

しばらくツイートをチェックしながら「これって本人のツイートなのか?」と疑問を持ち始め、やがて違うと気づく。

「何だ、本人じゃないのか」といってフォローを解除する。

フォローから離脱するまでの「幻想に気づくまでの期間」をゴーストライタービジネスはターゲットにしているということだ。

一人が抜けても、その影響力に惹きつけられて二人がフォローを開始する。(その二人が離脱するまでに、三人のフォロワーを獲得できれば何ら問題は無い)

それが、新陳代謝を繰り返して、数万人規模、数十万人規模に成長していく。その幻想の連続が多額の利益をもたらす。

恐ろしくもあり、馬鹿げた世界でもある。

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