何の気なしにYouTube検索をしていると関連動画に、とあるサムネイルが表示されていた。それは、テレビのバラエティ番組「アメトーーク」なのだが、例によって権利を無視したキャプチャリング動画だ。
まだ、こんな違法コンテンツが、YouTubeの監視をかい潜って収益を上げている。通報だ。
こういった違法コンテンツのアップロードは数年前に比べてかなり減少したとは言え、やはり、監視を逃れるチャンネルは今だ存在している。
僕は、偶然見つけた登録者1.5万人のこの違法コンテンツチャンネルを少し調べてみることにした。
閉鎖された数学チャンネル
さて、偶然見つけたこのチャンネルの動画リストを見てみると、五年以上前から投稿されているようだ。そのほとんどは黒板の前で数学の講師だと思われる外国人男性が数式を解説するといった学生に向けた極めてまっとうなものばかりだ。動画総数240本ほどが投稿されている。
確認した限りでは、動画には二人の講師が出演しており、解説はトルコ語だ。
ただ、動画投稿は4年前に途絶えている。そして、その2年後、2本の動画が投稿されているが、それはいつもの授業風景ではなく、本を出版したというお知らせと、1分36秒の最後の動画だ。
その後、そのチャンネルには一切、数学関係の動画は投稿されていない。
最後の動画に出演している講師と思われる白髪男性が、画面に向かって何やら話しているが、多分、チャンネル移転のお知らせだと思う。
リンクをたどっていくと別のチャンネルに行き当たり、その講師が、丁度、二年前から動画投稿を開始している。内容はやはり数学講義動画だ。こちらの登録者数は10万人ほどとなっており、一定数の支持を得ているようだ。
問題は、ここからだ。
突然のチャンネル再開
今年2019年9月25日、つまり、四日間前から、チャンネルが突然、動画投稿を再開する。
それは、数学とは全く無関係の日本のバラエティ番組「アメトーーク」のキャプチャリング動画が、この四日間で30本アップロードされているのだ。もちろん、トルコ語に翻訳されているわけではなく、日本人に向けたコンテンツだ。
4年前に動画出演していた外国人男性がアップロードしたものではないのは明らかだった。
事実、YouTubeチャンネルの売買はすでに行われており、チャンネル売買専門のウェブサイトもある。そこでは登録者数に応じて単価が設定されている。
多分、外国人男性は、こうしたウェブサイトを通じていくらかの価格でチャンネルを売却したのだろう。そして、それを全く無関係の日本人が買い取った。違法動画を投稿し収益を上げるために。
ただ、現在のチャンネル管理者は、数学講義の動画を削除することなく、そのままにしてある。この意味は、もう察しがつくだろう。YouTubeの監視をごまかすためだ。真面目な動画もちゃんと投稿しているチャンネルだとAIに認識させるために。
まさか、数学講師の男性もチャンネルを売却した相手が、違法動画のアップロードに使うとは思っていなかっただろう。そのチャンネルには、まだ自分の出演した動画が残っているというのに。
多分、管理者はスリーストライクがつくまでの一時的なビジネスだと割り切ってやっているのだろう。アカウント停止になれば、また別のを作り、同じテレビ番組の動画をアップロードする繰り返し。
YouTubeよ、何をしている! この違法動画を早く削除してくれ。
関連動画のスペースを空けて、真面目に動画を作り続けているクリエイターのために開放するんだ!
ある一定の需要
こうした違法コンテンツを提供するチャンネルが収益化されてしまうのは、それを視聴する視聴者の存在があるからだが、僕は違法だと分かるコンテンツは観ないようにしている。( そもそも、テレビはほとんど見ないが )
それでも、社会一般で違法コンテンツの認識が浅かった数年前では、僕自身もテレビ番組をYouTubeで見ることがあった。
YouTubeがルールを厳格化し始めてから、クリエイターの間でもそういったモラルが徐々に広がり、視聴者にも広がっていった。
テレビ番組をYouTubeで見られないことに不満を持つ人もいるかもしれないが、やはり、違法であることには違いなく、他人のコンテンツで、一般的なサラリーマンよりも高額な月収を得ている不届き者が存在することも確かだ。
現在のAIでは限界がある。やはり、視聴者の「サムネイルをクリックしない」という協力が必要なのだ。
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