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ユーチューバーの「ジレンマ」これから目指すとしたら

チャンネル登録者が増えるということは、普通に考えれば「足枷」が重たくなるということだ。

それがトップユーチューバーならば、何百万人の登録者をほったらかしにして、今さら全く違う方向へは行けない。それは、ファンへの裏切りであり、影響力の放棄になる。

だから登録者が増えていくほど、チャンネル自体は保守的で、冒険を避けるようになる。

新進気鋭のクリエイターよりも、トップユーチューバーの方が飽きられやすいというのは、そいういった背景あるからだ。

ファンの固定的要求

クリエイターの中には、あえてテレビでは出来ないようなタブーを行って、人々の注目を集める人たちもいる。炎上系ユーチューバーなどは、それに入るだろう。

人々は「世間の常識」をものともせず、自由に振る舞う画面の中のクリエイターたちに一種の憧れを抱く。そうやってファンが増えていく。

しかし、ファンが求めるものは、常に固定的だ。

ステージの上で野心的な新作コントを始めたお笑い芸人に「そんなの求めてないんだよ!あれ、やってくれよ!」といつもの芸を要求する客のように。芸人は、仕方なく一年前にブレイクのきっかけになった一発芸を披露する。

世間のタブーを度外視して、動画作品を作り続けたとしても、それによってついたファンから、いずれは、

「あの、企画やってくださいよ」

「前見たいに、もっとお金使ってくださいよ」

「もう、〇〇しないんですか?」

と言われるようになる。

クリエイターの頭の中に新しい企画案があったとしても、視聴者は、見たことも無いものを欲しがったりはしない。期待するのは、常に、ちょっとだけ変化をつけた過去の焼き直し作品ばかりだ。

つまり、「世間の常識」ではなく、ファンが勝手に作り上げた固定的ニーズという「鎖」に、クリエイターは縛られるようになる。

トップユーチューバーの「ジレンマ」

ハーバード・ビジネス・スクールの教授を務めるクレイトン・クリステンセン氏の著書「イノベーションのジレンマ」では、大企業がイノベーション ( 技術革新 ) を起こすことが出来ずに、やがて小さなベンチャー企業に先を越されてしまうという現象を緻密に分析している。

簡単に説明すれば、大企業には多くの顧客がついており、新しい方向へチャレンジすることが許されないために、イノベーションを起こしたくても起こせない状態、つまり、ジレンマが生まれると。

日本のYouTubeという市場にも、これと全く同じ現象が、今後、起こることは間違いないだろう。( 一部だが、すでに起こっているチャンネルも存在している )

新進気鋭のクリエイターにはファンはいない。いるかもしれないが少数だ。だから、足枷も無く、縛られる常識も無い。

トップユーチューバーと同じフォーマットで動画作品を作るということは、ある意味、足枷を付けた囚人と同じスピードで歩くようなものだ。

だから、若きクリエイターにとっては、今、勝ち組として君臨するトップユーチューバーは見本にはなならない。

だが、今のYouTube界隈を見ると、新規参入するクリエイターのほとんどが、トップユーチューバーと同じフォーマットの上で動画作りをしているように見える。

誰も、気づいていないのだろうか?

いや、確実にトップユーチューバーは、自らに付けられた足枷のことを知っているし、若きクリエイターの中には、世代交代の鍵について理解している者もいるだろう。

多分、時間の問題だ。

世代交代のスピード

これから参入しようと意気込んでいる若きクリエイターたちが、今の「The・YouTube」をぶち壊す時がいつか来るだろう。そして、YouTubeが単なる「ネット芸能人製造装置」ではないことを証明する時が来るだろう。

若きベンチャーが大企業を出し抜いてイノベーションを巻き起こすような、そんな瞬間が、YouTubeという世界でも起こるのだろう。

世代とは必ず交代するものだ。特にこういった世界では、より迅速に。

 

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