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「ファンビジネス」が抱える欠陥。インフルエンサーが語らないタブー

” ファンビジネス ” という言葉をインフルエンサー界隈でよく耳にする。

” ファン ” とは、Twitterで言うなら、フォロワーということになるのだろう。サロン会員やメルマガ登録者というのも、インフルエンサービジネスでは ” ファン ” と呼ばれている。

Twitterではインフルエンサーの呟きに、多くのファンが、いいねやリツイートをする。そして、インフルエンサーはツイートを拡散するファンに対して「ありがとう」と礼を返す。

そこにファンとインフルエンサーの美しい関係が成立しているかに見える。ただ、僕はこの関係性に一つの疑問を持っている。

なぜ、インフルエンサーはファンをフォローしない?

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欠陥を抱えたビジネスモデル

ファンビジネスを加速させたのは、やはり、アイドルグループAKB48の存在だろう。身近な存在としてアイドルを位置付けてファンの心をつかむ。握手会という恒例イベントもその延長線上にある。

アイドルにとって握手会に来たファンは大勢の中の一人に過ぎない。多分、握手をした数秒後には顔さえ覚えていないだろう。要するに「1対多」という関係だ。

大多数のファンはそれを理解している。ただ、そうでない人間もいる。

1対1の関係だと錯覚して、給料の全てをアイドルグッズにつぎ込んでしまい自ら破滅するようなレベルのファンに、何かをきっかけに「裏切られた」と思われたら・・・つまり、過度なファンビジネスは、そういったリスクを伴う。

危険な熱狂的信者は例外だとしても、僕は「ファンビジネス」というものにある種の不誠実さを感じる。身近な存在と思わせておきながら結局は別世界。

これは、ファンの ” 錯覚 ” を利用して成立するビジネスだ。

境界をぼかした曖昧な設定はやめて、最初から別世界設定でやってもらった方が、ファンにとっても不必要なエネルギーを浪費せずに済む。

ファンビジネスにとって、ファンは収益源に過ぎない。だから ” 身近な存在 ” という嘘をつき続けている。本当に感謝しているならファンに別世界であることを明示すべきだ。

熱狂的信者が「裏切られた」と感じるのは、一方的な思い込みというより、ファンビジネスがタブーとしている ” 触れてはいけないビジネスモデルの欠陥 ” に対する憤りなのではないだろうか?

そこに ” 嘘 ” があることに気づいた瞬間に、崇拝すべき偶像は、薄汚れた欺瞞へと化す。

インフルエンサーがフォローしない理由

さて、何万人ものフォロワーを抱えているインフルエンサーが、ファンをフォローするとなれば大変だろう。

そして、インフルエンサーのタイムラインは、フォロワーたちの呟きで埋め尽くされてしまう。そうなれば、情報を効率的に収集するはずのTwitterが機能しなくなってしまう。

ならば、情報収集用の別のアカウントを作ればいい。それにTwitterにはリストという便利な機能もある。何か問題でもあるのだろうか?

フォロワー「フォローしてくれよ」

インフルエンサー「いや、それは出来ない」

フォロワー「じゃあ、ありがとうってのは嘘なんだな?」

インフルエンサー「いやいや、いつも、いいねを押してくれて感謝してるよ」

フォロワー「じゃあ、フォローしてくれよ」

インフルエンサー「それは出来ない。感謝はしてるけど、それを始めたら切りがないから」

フォロワー「どうして? フォローするだけじゃん。ツイートをチェックしろとは言ってない」

インフルエンサー「いや、ブランディングが・・・」

フォロワー「自分のブランドの方がファンよりも大事なんだな? 最初からそう言えよ」

インフルエンサー「それを言ったらファンがついてこない」

フォロワー「じゃあ、感謝の言葉は嘘なんだな?」

インフルエンサー「・・・・」

インフルエンサーが本当にファンに対して感謝しているのか、正直、疑問だ。 盲目的な信者にこんなことを言ったところで無駄だろうが、結局、インフルエンサービジネスにとってフォロワーは単なる数字に過ぎない。

「ありがとう」というマジックワード

ファンビジネスにおけるインフルエンサーの「ありがとう」は、全くの嘘とは言わないまでも、ビジネス上の社交辞令だ。フォロワーに金を払い続けてもらうための。

「ありがとう」と言うだけならコストはゼロだ。インフルエンサーはこのマジックワードを使ってビジネスをしている。

多分、多くの大人はそのことを理解しているし、こういった「ファンジビネス」に対して冷ややかな視線を持っている。後はフォロワーたちがこのビジネスの ” 嘘 ” にいつまで付き合い続けるのか? ということだろう。

いずれ、ファンビジネスのムーブメントは終わるだろう。アイドルグループの全盛期が過ぎて終わっていくのと同じように。


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